『一生のお願い、聞いてよ。』

『え?りょう?どうした?』


何の話?みたいな顔をしてあたしを見るりょうくんの顔を、見ることができず、自分の持っているタバコを見つめながら話した。


「暑くて、アイス買いにいこうと思ったんだけど、チャリのタイヤに空気入ってなくて、そこのコンビニまで歩いた。」

『ちょ、りょう?』


心配そうな声で話しかけるりょうくんを無視した。



「アイス持ってレジに行ったけど、店員が新人っぽくてすごく遅かった。他に店員もいなくて、待つしかなかった。」

『な、何の話?』


まだ理解していないりょうくん。



「合計の金額が、5円足りないって、前のヤンキーたちが騒ぎだしたの」

『りょう』


何となく分かったかのようにあたしの顔をじっと見ているのが分かる。



「5円くらいならって、5円渡したら、そのお礼って、家まで送るからって車に乗せられた」

『話さなくていいよ』


教えてって言ったのはりょうくんじゃん。

笑ってくれないじゃん。

てか、話してもきっとキタナイって思われるだけで、笑ってはくれないだろうけど。

もう、止まらない。


「そこの道まできて、家を指差したけど、通りすぎた。夜景見に行こうって、あそこの池まで連れていかれた。」

『もう、いいよ』


ちょこちょこと止めるりょうくんを無視して続けた。

< 53 / 159 >

この作品をシェア

pagetop