はじまりは政略結婚
予想通り昼にはサカナケに着き、車を降りた智紀が、興味津々の顔で店を見上げている。

この店は海岸沿いに建てられていて、景色を堪能出来るようにと、高い位置にあった。

建物は鉄筋の柱で支えられていて、白く塗られた階段を上がっていくと店内に入れる。

ボックス型の一般的な家の様な装いで、外壁は一面青色で塗られ、そこには白色で、魚や貝の絵がユニークに描かれていた。

「雰囲気あるな。夏にはピッタリだ。行こう、由香」

手を差し出す智紀に、私は恥かしさを隠しながら右手を差し出す。

ギュッと握られた手の温もりで心が落ち着くのを感じながら、階段を上っていった。

少しくすんだ木製の扉を開けると、海が見晴らせる店内が飛び込んでくる。

眩しいくらいの明るさに、思わず目を細めた。

4人掛けテーブルが10席あるだけのこじんまりとした店内で、ちょうど半分の5組のカップルがいたのだった。

「どの席からも海が見渡せるんだな」

すっかり雰囲気が気に入ったらしい智紀は、テンション高めに目を輝かせている。

「うん。キレイでしょ?」

それにしてもさっきから、チラチラと視線を感じる……。
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