はじまりは政略結婚
だけど智紀はまるで意に介した様子はなく、私からメニュー表を奪う。

「ちょっと、そっちにもメニュー表はあるんだけど……」

口を尖らせると、彼はそれを真ん中に置いた。

「一緒に見よう。どうやら、由香のご機嫌が斜めみたいだから」

「な、なんでそう思うの?」

見透かされているようでバツが悪い。

おずおずと視線を上に上げると、智紀が小さく微笑んだ。

「眉間にシワ。何が気に障ったんだよ? さっきまでは、楽しそうだったじゃないか」

眉間を指で軽く突いた智紀は、私に『話てみろ』と言わんばかりに、視線を重ねてくる。

吸い込まれそうな瞳に、意地っ張りな私の口も緩んできた。

「だって、みんなが智紀を見てるのが、面白くないっていうか……」

そう答えると、智紀はクックと堪えるように笑った。

「そんな風に思ってくれると嬉しいな。じゃあ、この話をしても由香からいい返事を貰えそうだ」
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