はじまりは政略結婚
「いい返事って?」

「入籍だよ。具体的な日にちを決めたいなって、思ってるんだけど……」

ここが海の見える静かなレストランだとか、智紀を見る他の女性の視線が気になるだとか、そんなことが頭からスッポリ飛んでいった。

まさか、ここで入籍の話が出てくるとは思わず、戸惑いを隠せない。

「そんなに驚くことはないだろ? 政略結婚とか言ったって、本当に籍を入れないと意味ないわけだしさ。あ、その前に料理を注文するか」

呆気にとられる私を尻目に、智紀は好みのメニューをさっさと決めている。

私にも希望を聞かれたけれど、無難なコースを注文するしか出来なかった。

店員さんにオーダーし終わると、智紀は真面目な顔で私を見つめたのだった。

「由香、オレと結婚してくれるだろ?」

それは、およそ一ヶ月前にホテルでされたプロポーズよりも、ずっと真剣なものに聞こえて、胸の高鳴りを抑えることが出来なかった。
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