はじまりは政略結婚
近くの空き地が駐車場になっているけれど、私たちの車以外には他に2台しかいない。

それも一般的なファミリーカーで、智紀の高級車がかなり浮いていた。

だからか、店先からこちらを覗いている年配の女性が、口をあんぐり開けて見ている。

その姿に苦笑しながらふと看板に目をやると、『イカ焼き』と書かれていた。

「ねえ、智紀。イカ焼きって食べたことある?」

「イカ焼き? いや、知ってるけど食べたことはない」

やっぱり、予想通りで嬉しくなる。

「ほら、目の前のお店が、イカ焼き作ってるみたい。行ってみようよ」

ほとんど無理やり智紀の手を引っ張りながら店に向かうと、さっきの女性は店主なのか驚いた顔で店の中に入っていった。

「由香は、イカ焼きを食べたことがあるのか?」

「あるよ? もちろん、お兄ちゃんもね。百瀬家は素朴がモットーだから」
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