はじまりは政略結婚
「ねえ、お父さん……」

その疑問を聞こうとした時、それを察したかの様に手で制された。

「詳しい話はパーティーが終わってからでいいか? 誰に聞かれるかも分からないから」

そう言われたら頷くしかない。

確かに周りの人たちは、私と智紀が付き合っていたと思っているだろうし、まさか単なる顔なじみから、寝耳に水のプロポーズを受けたなんて想像もしていないはず。

それに、このプロポーズの本当の意味に、お互いの会社の利益が絡んでいる気がしてならない。

それでなければ、相手が智紀なはずがないし、兄がここに私を連れて来るはずがないもの……。

その兄と智紀は、少し離れた場所で演奏を聞いている。

時々、どちらかが耳打ちをして何かを話し、笑顔を浮かべていた。

こうやって客観的に見れば、絵になる二人なのに、智紀の場合は言動の全てが、私の好みとは正反対なのが残念。

しばらく二人を見つめていると、兄がふと、こちらを見た。

一瞬でも、あんなに心配した自分がバカらしい。

わざと頬を膨らませて睨むと、兄は片手を顔の高さまで上げて苦笑いを向けた。

どうやら『ごめん』と言っているらしい。

すると、それに気付いた智紀も私に視線を向けた。

だけど、バッチリ目が合ったのが気まずくて、すぐに顔をそらしてしまったけれど……。
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