はじまりは政略結婚
その中でも、一番反応したのは竹内さんで、私に体を近づけるとニヤッとしている。

「副社長から?」

目が三日月のような形になるほど、不自然な笑顔の竹内さんに、私は力が抜けるのを感じた。

「ハハ……。違いますよ。誰か分からない人からです」

スマホを手に取り立ち上がると、部屋を出る間際の私に、竹内さんの冷やかす声が聞こえる。

「またまた〜。ごゆっくり」

そう言われても、本当に智紀からじゃない上に、表示されているのは番号のみ。

要するに、アドレスに登録がない人からだ。

それも固定電話の番号でもないから、ますます謎だけど、とりあえず出てみることにする。

「もしもし?」

近くの非常扉を開けて、階段の踊り場で応答すると、予想もしていなかった人の声が聞こえた。

「よう、由香。昨日は、何でさっさと帰ったんだよ?」

「え? 海里……? なんで、番号を知ってるの?」
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