はじまりは政略結婚
穏やかな波と、透き通っている海水に目を奪われる。

ここは、一般的なビーチの半分くらいの広さがあり、これを大人四人で独占できるなんて、かなり贅沢だ。

「本当に素敵……」

波打ち際で水平線を見渡していると、不意に智紀が後ろから抱きしめてきた。

「良かった、喜んでくれて。由香の楽しそうな顔を見れるのが、一番嬉しい」

「と、智紀……」

耳に彼の吐息がかかって、ここが外だということを忘れてしまいそうだ。

「お兄ちゃんたちが来るかもしれないから、離して……」

こんな場所で理性を失うわけにはいかない。

なんとか智紀に抵抗をみせたけれど、それは簡単に抑えられた。

「まだ来ないよ。それに、あいつらになら見られてもいいだろ? 」

私を自分の方に振り向かせた智紀は、そのままキスをした。

「と、智紀ってば……」

だからって、舌を入れてくるほど、激しいキスをしなくてもいいのに……。

思わず、甘い声が漏れてしまって恥ずかしい。

「なんだ。由香も気持ちいいと思ってるんじゃないか」
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