はじまりは政略結婚
唇を離した智紀は、指で私の唇をゆっくりなぞる。

「うん……。気持ちいい……。だから、こんなところでしないでよ。いつお兄ちゃんたちが来るかも分からないのに」

少しボーッとする頭で、彼を睨んでみるけれど、それを笑われてしまった。

「睨んだ顔も可愛いよ。だから、キスさせて」

「ん……! ちょっと……」

有無を言わせず、智紀は再び唇を塞いだ。

いつになく大胆で積極的な智紀に、戸惑いつつも胸は高鳴る。

何度かキスを交わした後、力が抜けた私は、そのまま智紀の胸に顔を埋めたのだった。

そんな私の髪を、彼は優しく撫でている。

「由香の巻き髪、実はオレの好みなんだ。かなりストライク」

「本当? それなら良かった。智紀も、今でとは違う知的な髪型は、私の好きなスタイルだよ」

ギュッと強く抱きしめられて、私も智紀の背中に回した手の力を強くする。

お互いを想って、同じ日にイメチェンをするなんて、かなり嬉しい。

どんどん彼に恋する気持ちが大きくなっていくのを感じながら、しばらく柑橘系のする胸の中で目を閉じていた時だった。

「本当に仲がいいんだな」

兄の声がして、とっさに智紀から離れたのだった。
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