はじまりは政略結婚
「首脳会談?」

なんのことか意味が分からず聞き返すと、智紀が涼子さんに声をかけてきた。

「悪いけど涼子、由香に別荘の案内してやってくれる? オレは祐也と行くから」

「オーケーよ。任せて」

ふたりのやり取りをボーッと見るだけの私の頭を、智紀は優しくポンポンと叩くと、兄とふたりで別荘の方へ歩いて行った。

「さあ、由香ちゃん。部屋を案内するわね」

涼子さんはスポーツバックを肩に掛け直すと、私を智紀たちと同じ方向へ促した。

「ありがとうございます。でも、同じところに行くなら、智紀たちも一緒に行けばいいのに」

不思議に思っていると、涼子さんが小さく首を横に振ったのだった。

「ふたりは、別荘の側にある専用の建物に行くのよ」

「専用の建物ですか⁉︎ まだ、他にも建物があるなんて……」

ここから見える限り、別荘はかなり大きい。

プロヴァンス風の外観で、とてもオシャレだ。

「そうなのよ。別荘だけで、六部屋もあるのに、専用の建物まであるなんて贅沢よね?」
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