はじまりは政略結婚
智紀を、知れば知るほど好きになる。

恋する気持ちって、こんなに大きくなっていくものだったっけ……?

「智紀……好き」

自然と呟くと、温かい手が私の手を包み込んだ。

「オレも好きだよ、由香」

「え……?」

どうやら、また私は寝言を言っていたらしく、智紀の声で目を覚ました。

「私、いつの間にか寝てた?」

海風の気持ち良さに、すっかり寝入っていたらしい。

その証拠に、すでに陽が傾き始めている。

「また、オレの夢を見てくれてたの?」

椅子の側で膝立ちした智紀が、私の額を優しく撫でた。

それに胸をときめかせながら、小さく微笑む。

「うん。漠然とだけど……。智紀のことを考えてた夢だった」

『首脳会談は終わったの?』と聞きたいところだけど、仕事の話はやめておこう。

こうやって、目が覚めたら彼がいてくれることが純粋に嬉しい。

「そんなことを言われたら、このままずっと由香とふたりきりでいたいと思ってしまうよ」

智紀は唇を重ねると、私をギュッと抱きしめた。

「それは、私だって同じよ……」

もっとキスをして欲しい、抱きしめて欲しい、そう思ってしまう。

「だけど残念ながら、今から祐也たちと会わなければいけないんだ」

「また大事な話あるの? もしかして、仕事が忙しいとか?」

まさか、そんなに忙しいのにここへ連れてきてくれたとしたら、あまりに申し訳なさすぎる。

「いや、違うよ。目の前の砂浜でバーベキュー。由香は、肉は好きか?」

「えっ⁉︎ バーベキュー‼︎ うん、もちろん好きよ」

思わず起き上がるほど喜んだ私に、智紀は笑ったのだった。
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