はじまりは政略結婚
それは、海里に呼び出された時の店での写真だ。

ちょうど、彼が私の手を握っている瞬間が写っている。

「これ……なんで?」

ア然とする私に、海里は薄ら笑いを浮かべて言った。

「あの時さ、実は仲間がいたんだよね。それで、写してもらった。この変装は、オレの定番スタイルだから、充分『海里』で通せる。そして、由香の姿。この写真と、涼子さんの写真。どっちが世間は食いつくかな?」

「な、何を言ってるの……?」

あの日、私はハメられたってこと?

最初から、この写真を撮る為に呼んだんだ……。

「嶋谷には、大きな権力があるんだから、女くらいは返してもらわないとな。由香は誤解してる。オレは、お前が好きだから」

そんなわけがない。

悔しさと腹立たしさと、悲しさで涙が込み上げる。

「どうする? お前が嶋谷との婚約を破棄すれば、両方の写真もネガも渡すよ。週刊誌に取り上げることもさせない。だけど、このまま結婚するなら、どっちかの写真を公表させるよ。嶋谷か、由香の浮気、どちらかに見せかけてね」
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