はじまりは政略結婚
なんて、卑怯なんだろう。

こんな汚い手を使ってでも、私たちの仲を引き裂きたいなんて、言葉にならないくらいに腹がたつ。

そして、こんな人を好きになった自分も恥ずかしい。

「婚約破棄なんて、できるわけないじゃない。会社の提携の話も白紙になるし、何より私は智紀が好きなの。絶対にそんなことはしないわ」

これ以上、この人の話を聞くのもバカバカしい。

まともな会話が通じないなら、いっそ智紀に相談しようか……。

そんなことを考えつきながら立ち上がると、海里は冷たい視線を向けた。

「後悔するんじゃないか? どっちの写真が出ても、世間の目があるから破談せざる得ない。それなら、なるべくイメージに傷がつかないように、別れた方がいい。今なら、理由づけはいくらでもできるだろ? 涼子さんの写真が出たら、嶋谷の浮気だけじゃなく、祐也さんも破局するだろうな。可哀想に」

兄と涼子さんが破局……?

ようやく、前に進めそうになった涼子さんが傷つくのは嫌だ。

それに、智紀だって浮気をするような人じゃない。

そんな汚名を着せられるなんて、絶対に避けなければ……。

固まる私に、海里はさらに追い討ちをかけたのだった。

「週刊誌だから、もう締め切りなんだよね。早く由香の気持ちを言ってくれないと、涼子さんの写真は出してもらうよ?」
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