はじまりは政略結婚
「由香、何かひとりで抱え込んでるんじゃないのか? 今言ったことは、全部嘘だろ? 」

その言葉に、心底ドキッとする。

「なんで、そう思うの……?」

「だって、由香がオレを好きじゃなかった頃の目を知ってるから。今の由香の目は、その時とは違う。オレを好きになってくれた時の目だよ」

突然プロポーズの断りを告げたのに、智紀は動揺するどころか、冷静に私を見てくれている。

そんな彼の愛と優しさに、心が折れそうになるけど、写真が頭をチラついて打ち消した。

智紀ですら、写真の潰し方が分からなくて、兄に相談していたくらいだ。

ここで海里の言うことを聞かなければ、来週の週刊誌には写真が載せらてしまう。

私は唇を噛み締め、首を横に振った。

「智紀の勘違いよ。今言ったことは、全て本当だから。ちゃんと、世間にも公表してね。改めて、おじさまとおばさまには謝罪に伺うわ」
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