はじまりは政略結婚
これが正しい選択なのか、はっきり言って分からない。

だけど、他になす術がない以上、海里の言う通りにしないといけなかった。

真っ直ぐ彼を見据えていると、智紀は少し肩の力を抜いたのだった。

「分かった。由香の言う通りにするよ。それが、お前の幸せならそうする。じゃあ、それは外さないとな」

意外なくらいにアッサリと受け入れた智紀は、さっそく指輪を外したのだった。

「とりあえず、今夜はいつも通りに過ごして。それから、ごめんな。オレのワガママで振り回して」

「そんな……。智紀が謝ることじゃないよ」

いたたまれず口にした私の頭を優しく撫でた智紀は、その夜同じベッドには来なかった。

リビングのソファーで眠った彼は、次の朝いつものように早朝から出勤していった。

その様子が分かったのは、一晩中眠れなかったから。

私のことを考えて、プロポーズの断りを受け入れてくれた智紀の気持ちを想像すると、涙が止まらなかったのだ。
< 264 / 360 >

この作品をシェア

pagetop