はじまりは政略結婚
「由香が、海里になんだって? 教えろよ、里奈」

詰め寄る智紀に、里奈さんの表情はうろたえている。

やっぱり、海里と里奈さんは繋がっていたんだ。

それを確信しても、ホッとするどころか、智紀の気持ちを考えると複雑だった。

「そ、それは……」

言葉を失う里奈さんに、智紀はスーツの胸ポケットからひとつのネガを取り出した。

「里奈、これなんだ?」

「あっ! それは私の……」

話が進んでいって遅れ気味の私を尻目に、智紀は里奈さんへの厳しい表情を崩さないで見つめている。

「これは、里奈の持っている一眼レフのネガだよな? それから、ついでにこれも」

そしてさらに取り出したのはレター封筒で、そこから彼が見せたものは例の写真だった。

私が海里に手を握られているものもある。

「なんで、これを智紀が……?」

愕然とする里奈さんに、智紀はニヤッと笑ったのだった。
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