はじまりは政略結婚
智紀のマンションから職場までは本当に近くて、徒歩通勤なのに今までより30分は時間が縮まった。
私の職場は百輪廻出版。
そう、父の会社の事務員として働いているのだ。
主な仕事は庶務雑務で、編集チームや販売チーム、とにかく垣根を越えてどんなチームの要望も受けている。
備品の購入から資料作成、それに必要な写真撮影や書籍購入など多岐に渡る。
地味な部署だけど私にはピッタリな場所で、居心地よく感じていた。
オフィス街に位置する本社自社ビルの20階が私の部署で、25階には父と兄がいるけれど、実は社内で会うことは滅多にない。
「おはようございます」
オフィスに入った途端に、女子社員が群がってきた。
「由香ちゃん、おめでとう! そして羨ましい!」
一年先輩の竹内さんを始め、他先輩三人が目を輝かせている。
「あ、ありがとうございます……。それって、嶋谷副社長とのことを言われてるんですよね?」
たじろく私に、竹内さんたちは至近距離まで近付いてきた。
「当たり前よ。ねえねえ、副社長ってどんな方? 一度でいいから、生で見てみたいなぁ」
私の職場は百輪廻出版。
そう、父の会社の事務員として働いているのだ。
主な仕事は庶務雑務で、編集チームや販売チーム、とにかく垣根を越えてどんなチームの要望も受けている。
備品の購入から資料作成、それに必要な写真撮影や書籍購入など多岐に渡る。
地味な部署だけど私にはピッタリな場所で、居心地よく感じていた。
オフィス街に位置する本社自社ビルの20階が私の部署で、25階には父と兄がいるけれど、実は社内で会うことは滅多にない。
「おはようございます」
オフィスに入った途端に、女子社員が群がってきた。
「由香ちゃん、おめでとう! そして羨ましい!」
一年先輩の竹内さんを始め、他先輩三人が目を輝かせている。
「あ、ありがとうございます……。それって、嶋谷副社長とのことを言われてるんですよね?」
たじろく私に、竹内さんたちは至近距離まで近付いてきた。
「当たり前よ。ねえねえ、副社長ってどんな方? 一度でいいから、生で見てみたいなぁ」