はじまりは政略結婚
みんな目をトロンとさせて宙を見上げているけれど、やっぱり客観的に見たら、この婚約は羨ましいみたいだ。

確かに、智紀の意外な優しさには感動したけれど、だからといって結婚を受け入れたわけじゃない。

目の大きな可愛いタイプの竹内さんは、さらに目を大きくしながら、満面の笑みを浮かべ、私からの返事を待っている。

「どんな方って言われましても……。派手な感じですかね……」

正直、智紀を一言で表すなら、それしか言葉が思い浮かばない。

すると、竹内さんはため息をつきながら、苦笑いをしたのだった。

「もう、由香ちゃんてば、あのイケメン副社長で有名な人と婚約したっていうのに、素っ気ないんだから」

他の先輩たちも、同調するように頷いている。

「そうは言っても竹内さん。私と嶋谷副社長って、合うと思いますか？ タイプが全然違う気がするんですよね……」

これで智紀が固い性格の人だったり、一般的な企業勤めをしている人なら思わなかったかもしれたい。

だけど、取り立てて華やかさのない私には、彼の隣があまりにも違和感を感じる場所の様な気がしてならなかった。
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