はじまりは政略結婚
今日も一日平和に仕事を終えて退社の準備をしていると、竹内さんが目を輝かせてやって来た。
「いいなぁ。副社長の待つ家へ帰るなんて、羨ましい。また、いろいろノロケ話を聞かせてね」
「はい……」
けっこう竹内さんてミーハーなんだなと思いつつ、改めて智紀のマンションへ帰るのだと考えたら気が重い。
朝は、用意してくれた朝食に感動したりしたけれど、こうやって冷静になると逃げたくなる気持ちも沸いてくる。
明日からも、智紀とのことを聞かれるのかと思うと憂鬱だ。
ノロケ話も何も、私は彼が好きではないのだから。
「それじゃあ、お先に失礼します」
オフィスを出てエレベーターに乗り込み、ビルを出たところで立ち止まる。
このまま、東に行けば実家への道だけど……。
「どうしようかな……。どっちの道を通るか。あっちか、それともこっちか」
行き交うビジネスマンたちの中で、左右を向いて帰る場所を考えていた時、
「ったく、やっぱり油断も隙もないな、由香は」
背後から智紀の声がして振り向くと、両手を腰に当てて仁王立ちしている姿が目に入ったのだった。
「いいなぁ。副社長の待つ家へ帰るなんて、羨ましい。また、いろいろノロケ話を聞かせてね」
「はい……」
けっこう竹内さんてミーハーなんだなと思いつつ、改めて智紀のマンションへ帰るのだと考えたら気が重い。
朝は、用意してくれた朝食に感動したりしたけれど、こうやって冷静になると逃げたくなる気持ちも沸いてくる。
明日からも、智紀とのことを聞かれるのかと思うと憂鬱だ。
ノロケ話も何も、私は彼が好きではないのだから。
「それじゃあ、お先に失礼します」
オフィスを出てエレベーターに乗り込み、ビルを出たところで立ち止まる。
このまま、東に行けば実家への道だけど……。
「どうしようかな……。どっちの道を通るか。あっちか、それともこっちか」
行き交うビジネスマンたちの中で、左右を向いて帰る場所を考えていた時、
「ったく、やっぱり油断も隙もないな、由香は」
背後から智紀の声がして振り向くと、両手を腰に当てて仁王立ちしている姿が目に入ったのだった。