はじまりは政略結婚
「えっ?」

思わず智紀に顔を向けるも、彼は運転で前を向いたままだ。

だけど、口角を上げて微笑んでいるのは分かる。

「オレのことを好きになれよ、由香。その為なら、どんなことでもするんだけどな」

「な、何言ってんのよ……。相変わらずウソか本当か、分からないことを言うんだから」

恥ずかしさで、わざと可愛くない言葉が出てしまう。

どうして、そこまで私を捕まえようとするんだろう。

一体、智紀にとって私はどんな風に写っているのか……。

「ウソなんてついてないよ。ったく由香は、オレをてんで信用してないよなぁ」

「だって……」

わざとらしいため息をつく彼に、私は小さくなるしかない。

どうしても、言葉だけじゃ信用出来ない。

いや、それはやっぱり智紀のような華やかな人に言われるからかも……。

「ほら、ようやく着いた」

悶々と思考を巡らしている間に、車はテレビ局の地下駐車場へと入っていったのだった。
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