はじまりは政略結婚
蛍光灯の明かりに照らされたこの場所は、周りが灰色のコンクリート壁で、ごく普通の地下駐車場だ。

だけど少し違うのは、ここへ入る前に、警備員から金属探知機で調べられたのと、停めてある車は高級車ばかりだということだった。

「見事に高級車ばかりね」

車を降りて辺りを見回していると、智紀も出てきて手を取り指を絡めてくる。

「ここは関係者専用の駐車場だからな。タレントやモデル、それにテレビ出演しているお偉い先生方の車だらけなんだよ」

「そうなんだ……。ますます、私の苦手な世界だわ。それより、手を離してよ。すぐ、どさくさに紛れてこういうことをするんだから」

思い切り振りほどこうとするも、智紀は力を入れていて離せない。

「いいだろ? どうせ、みんなオレたちのことは知ってるんだ。これくらい自然だって」

ニヤッと笑った智紀は、さっさとエレベーターへ向かって歩き始める。

駐車場から直接乗れるらしく、ちょうど中央にそれは位置していた。

「あっ、そうよ。スポーツ新聞に記事が載ったのって、智紀の差し金でしょ?」
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