はじまりは政略結婚
「お兄ちゃん⁉︎ 来てたの?」

昨日の今日だというのに、なんだかとても懐かしい感じがする。

「ああ。由香、元気そうだな」

「うん! お兄ちゃんも!」

優しく微笑む兄に飛びつこうとした瞬間、智紀に腕を掴まれた。

「飛びつく相手を間違えてるだろ?」

口を尖らせ振り向くと、智紀も眉間にシワを寄せている。

「間違えてないわよ。お兄ちゃんがいいもん」

「ったく、いい加減に兄離れしろよな」

腕を力任せに引っ張られ、はずみで彼の胸に倒れ込む。

二人の前で、こんなシチュエーションは恥ずかしく、すぐに体を離したのだった。

そんな様子を兄は、苦笑いで見つめている。

「兄離れなんて無理よ、智紀。祐也だって、由香ちゃん離れ出来てないんだから」

涼子さんはクスクスと笑いながら、私たちを黒色のソファーに促した。

そこへ智紀と並んで座ると、向かいの兄がホッとしたように息を吐いたのだった。

「安心したよ。由香が思ったより、智紀に馴染んでいて」
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