はじまりは政略結婚
「えっ⁉︎ そんなんじゃないよ。別に馴染んでなんか、ないんだけど……」

とんでもない誤解に慌てて否定すると、兄の隣に座った涼子さんが、テーブル越しに身を乗り出してきた。

「そうよ。祐也から聞いた時は、本当にビックリしちゃった。由香ちゃんたち、婚約したんだよね?」

大きな目をさらに大きく見開いた彼女は、相変わらずキレイでうっとりする。

170センチの身長と、透き通る様な白い肌。

そして筋の通った鼻に、適度に厚い唇でまさにモデルそのもの。

涼子さんは売れっ子モデルとして、主にキャリア系のファッション誌で活躍している。

そんな彼女と並んで絵になる人は、私の知っている限り、兄と……悔しいけど智紀くらいだ。

肩甲骨まである艶のあるストレートの黒髪からは、花の香りがしてくる。

どこを取っても、私の憧れなのだ。

「私は婚約をしたつもりは、ないんだけど……」

智紀の反応を気にしながら言うと、案の定睨みつけられてしまった。
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