はじまりは政略結婚
思わず両手で口を塞ぐ私を、兄と涼子さんは呆気に取られて見ている。

チラッと隣の智紀を見ると、涼しい顔で「オレが言ったんじゃないからな」と言われてしまった。

すると兄はすぐに満面の笑みを浮かべて、私たちを交互に見たのだった。

「なんだ、もうそこまで進んでたんだな。どおりで、由香から泣きつかれなかったわけだ。良かった、良かった」

胸を撫で下ろす兄に、ほとんど気恥ずかしさを誤魔化す為に反論する。

「そんなんじゃないよ。だいたい、智紀が強引過ぎるんだもん」

「その割には抵抗してこないじゃないか」

横から口を挟む智紀に、私は思い切りキツイ視線を向ける。

だけど彼は、悔しいくらいに意に介していない様子だ。

「まあまあ、仲良く出来るのはいいことじゃないか。それより、由香たちは涼子に会いに来たのか?」

だから、仲良くしているわけじゃないと反論したいのに、まるで聞いてくれそうもない兄を目の前に、ガックリと肩を落とすしかなかった。
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