はじまりは政略結婚
「いや、由香に局内の雰囲気に慣れてもらうのが目的。ついでに涼子がいるのを知ってたから、顔を出してみたんだ」

兄の質問に答えたのは智紀で、涼子さんはどうやらその言い方が気に障ったらしく、ムッとした顔で見ている。

「ついでって失礼ね。私だって、会えるのは由香ちゃんだけで十分なんだけど。どこかの誰かさんはお邪魔だわ」

すると、智紀はニッとしたかと思うと私に目を向けた。

「オレたちは、邪魔なんだってよ。祐也と、二人きりの時間だったもんな。もう出るか」

「ちょっと! 邪魔なのは智紀で、由香ちゃんのことは言ってないでしょ?」

さらに噛み付く涼子さんを、兄は苦笑いで、「まあまあ」となだめている。

そんな彼女を、智紀は本当に楽しそうに見ていた。

「どっちにしても、涼子はそろそろ時間だろ? 祐也はどうするんだ? ついて行くのか?」

「いや、ここに来たのは打ち合わせで来たんだけど、先方の仕事が押しててさ。涼子のところで、時間潰しをさせてもらってたんだよ」
< 62 / 360 >

この作品をシェア

pagetop