はじまりは政略結婚
「ねえ、里奈さんてタレント? それともモデル?」

相変わらず静かな廊下を歩きながら、ふと智紀に問いかけた。

なんとなく気になったのは、感情のコントロールが上手な兄が、あんなに動揺したから。

昨日のパーティーですら、私に全く悟らせなかったくらいなのに。

「里奈は、スタイリストなんだ。今は、オレの事務所に所属している仲間同士として、涼子の担当をしてもらってるんだよ」

「スタイリストなの? ていうか、涼子さんて智紀の事務所に所属だったっけ?」

驚きで目を丸くする私に、彼は呆れたようにため息をついた。

「知らなかったのかよ。涼子のことは、憧れだったんじゃないのか?」

「だって、所属事務所がどこかなんて関係ないもの。じゃあ、その里奈さんて人は、智紀の知り合いなんだ……。ふぅん」

それなら別に、動揺する意味はないと思うだけに、ますます兄の態度に疑問が深まるだけだった。
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