神魔妖幻想曲 ー 斬呪 ー


「いや、なんでもねえさ」



苦笑するユウヤは、ふとアンティーク人形の飾られている店に目を向けた。

「とりあえず、そこの店から始めるか」そう言ってユウヤはリーシャの手を引いて店内に入る。

店の扉を開くと、『チリン』という可愛らしい鈴の音が響いた。

ふっと鼻をかすめる匂いに、ユウヤは顔をしかめる。



「(この匂い、なんか好きになれないな……) リーシャ、俺は店の人に話を聞いてくるから、お前は店の中でも見ててくれ」


「はいっ、わかりました!」



途端に嬉しそうな声を出すリーシャ。

ユウヤはレジで居眠りしている若い男主人に寄った。

この3人以外、店には誰もいない。



「すみません、少しお話を伺いたいのですが………」


「んあ? 客かい。で、何の用だ」


「(ガラ悪いな、このにーちゃん……。まるで“アイツ”みたいだ)

ええっと、最近不思議な事件が相次いでいるようでして。何か知っていることがあれば教え……」


「てめぇ、サツか」

「!?」



目つきを鋭くして遅いかかってくる店の主人。

カウンターに飛び乗り、ユウヤに向かって回し蹴りを繰り出してきた。


咄嗟に避けたユウヤだが、主人は次々と蹴りを繰り出してくる。

上段、下段、回し、二度………


キリのない攻撃にユウヤが顔をしかめ、ついに反撃をした。


鳩尾に向けての拳一発。ユウヤは自分でも『入った!』と思った。そうして店の主人はうずくまり、ユウヤの前で膝をつくのだが……



「っ、危ない!」

「え、」



騒動に気づいたリーシャが真っ先に視界に捕らえたモノは



「絶対逃がさねえ…っ」

「がッ……っぅ」

「ユウヤさんっ!」



主人の隠しナイフによって、朱に染まるユウヤの姿だった。



「いやあああああああああッ!!」






秘密の花園【グレンクリンタウン】

秘密は漏らしちゃいけないよ

だから、だからね


秘密を探りに来た者は
殺さないといけないんだ


ここは秘密の花園
【グレンクリンタウン】……



< 23 / 24 >

この作品をシェア

pagetop