神魔妖幻想曲 ー 斬呪 ー
「いや、なんでもねえさ」
苦笑するユウヤは、ふとアンティーク人形の飾られている店に目を向けた。
「とりあえず、そこの店から始めるか」そう言ってユウヤはリーシャの手を引いて店内に入る。
店の扉を開くと、『チリン』という可愛らしい鈴の音が響いた。
ふっと鼻をかすめる匂いに、ユウヤは顔をしかめる。
「(この匂い、なんか好きになれないな……) リーシャ、俺は店の人に話を聞いてくるから、お前は店の中でも見ててくれ」
「はいっ、わかりました!」
途端に嬉しそうな声を出すリーシャ。
ユウヤはレジで居眠りしている若い男主人に寄った。
この3人以外、店には誰もいない。
「すみません、少しお話を伺いたいのですが………」
「んあ? 客かい。で、何の用だ」
「(ガラ悪いな、このにーちゃん……。まるで“アイツ”みたいだ)
ええっと、最近不思議な事件が相次いでいるようでして。何か知っていることがあれば教え……」
「てめぇ、サツか」
「!?」
目つきを鋭くして遅いかかってくる店の主人。
カウンターに飛び乗り、ユウヤに向かって回し蹴りを繰り出してきた。
咄嗟に避けたユウヤだが、主人は次々と蹴りを繰り出してくる。
上段、下段、回し、二度………
キリのない攻撃にユウヤが顔をしかめ、ついに反撃をした。
鳩尾に向けての拳一発。ユウヤは自分でも『入った!』と思った。そうして店の主人はうずくまり、ユウヤの前で膝をつくのだが……
「っ、危ない!」
「え、」
騒動に気づいたリーシャが真っ先に視界に捕らえたモノは
「絶対逃がさねえ…っ」
「がッ……っぅ」
「ユウヤさんっ!」
主人の隠しナイフによって、朱に染まるユウヤの姿だった。
「いやあああああああああッ!!」
秘密の花園【グレンクリンタウン】
秘密は漏らしちゃいけないよ
だから、だからね
秘密を探りに来た者は
殺さないといけないんだ
ここは秘密の花園
【グレンクリンタウン】……