3秒小説
にひゃくさんじゅうはち


朝、台所の壁に人の形をした黒い染みが浮かんでいた。


「これ何?」


と両親に聞くと、父が答えた。


「昨日、お父さんの初恋の女性が亡くなってな。葬式のときに、その死体の首を盗んで、そこの壁に埋めこんだんだ」


父はお茶を一口飲んだ。母は何も言わずに、食器を洗っていた。




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