ヤンキー君と異世界に行く。【完】
首をかしげる仁菜。
すると次はアレクがシリウスの言葉を引き継ぐ。
「……環境が原因か、食べ物が原因か、それは定かではない。
しかし、はっきり言えるのは……
この国の人口が、減り続けているということ」
「人口が……?」
どこかで聞いたような話だ。
そう、それは仁菜がいた世界でもあった問題だ。
子供の数が、減り続けている。
だけどそれとは、少し様子が違う……。
「……子供が生まれることは、生まれている。
しかしそれは9割超が男児で、女児は1割にも満たない」
「……えええっ!?」
「何十年もかけて、女性の割合がどんどん少なくなっていたんだ」
ということは……
子供を生む女性自体が、少なくなってしまっているということ。
仁菜は先ほどテーブルやお菓子を用意してくれた黒服の男たちを思い出した。
そうだ。
女の人が混じっていたっておかしくないのに、彼らは全員が男だった……。
「しかも人間ってさ、獣と違って、恋愛感情なんていう面倒くさいものがあるじゃん?
女の子たちに選ばれるために、みんな必死だよ、必死。
女の子たちは国の機関で管理されてて、優れた遺伝子……ここでいう『優れた』っていうのは、生殖能力が強いかどうかなんだけど。
とにかく優れた遺伝子の男とお見合いを繰り返して、気に入った相手と結婚してもらうんだ」