ずっと大好き…この恋は永遠…



『会えてうれしかったわ〜。

よかったらまたいらっしゃいね』


春子の明るい笑顔に送り出されて、みのりが病室を後にした。


同室の4人とも楽しくやっているようで、春子の元気な姿に安堵のため息がもれる。


エレベーターで1階ロビーまで降りながら、一瞬、悠太の顔が頭に浮かんだ。


自分と同じ年なのに、1人で春子を支える悠太が…

痛々しくて可哀想で…


だけど、同情されるのが嫌いだった悠太を思い出して、慌ててそんな考えを追い出した。


春子に会いたくて来たはずなのに、思うのは悠太の事ばかりで、思えば思うほど

切なく悲しくなる。


どうもしてあげられないのに…

こんな事思っても仕方ないのに…


愛情とも友情とも…同情とも違うような…

ひどく苦しい感情が浮かび上がる。


風化した想いが、乾いた想いが、気持ちの潤いを奪っていく。


カラカラになった過去の想いが転がって、胸が痛い。



集めた潤いを含んだ想いは重みを増して沈んでいく。


ゆっくり…

ゆっくり…



一番奥まで、時間をかけて沈んでいく。


それがまた苦しい…


.
< 206 / 292 >

この作品をシェア

pagetop