風に恋して:番外編
「ルカ、邪魔しちゃダメだよ」
『まー、もー?』

リアが注意すると、ルカがリアのところへと戻ってくる。くるくるとリアの周りを吹いて、何かを訴えているようだ。

「桃は朝食べたでしょ?」
『ふぇっ、もー!もー!』

ルカの好物は桃らしい。そういえば、レオもこんな風にわがままを言ったことがあったと思い出す。マリナはクスッと笑って侍女に桃を用意するように言った。

「母上……」
「あら、食べさせてあげないとどうなるかはわかるでしょう?レオ、貴方のときも大変だったの」

苦い顔をするレオに、マリナは笑った。甘やかすなと言っているのだろうけれど、このままルカの機嫌を損ねたら部屋が半壊してしまう。レオのときも、突風が吹いて大変だったのだ。

そして、ふと思う。

「エンツォは……お姉様のお心がわかっていたのかしら」

カリストがエンツォの出生に気づいていなかったということは、ヒメナがエンツォを身ごもっている間、風となって出てくることがなかったということだ。

「母上、まさかすべて知っておられたのですか?」

レオが驚いて、リアもマリナをじっと見つめている。

「知っているも何も……お姉様とオビディオ様に夢を見て欲しいと頼んだのは、私なのよ?レオもリアも、もう知っているのでしょう?」

マリナはソファに座り直して姿勢を正した。
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