恋するマジックアワー
―――始業式。
すぐに違和感に気付いた。
洸さんへの気持ちをなくすって決意をしていても、わたしの目は自然とその姿を探してしまっていた。
でも、いないのだ。
あの野暮ったい沙原先生が、いない。
いくらHR関係なくても、始業式は参加のはず。
体育館の端に並んでる先生達の中に、あの真っ黒なもさもさ頭を見つけることができなかった。
……は!
―――わたしのバカ。
洸さんのことなんてどうでもいいのに。
気持ちが完全に整理できるまで、見ないに越したことはないんだから。
「…………」
校長先生の長いお話が終わり、ようやく解放されたあたしたちは、あたたかい教室に戻ってきていた。
席替えをして、わたしの席は窓際じゃなくなっていた。
今度は廊下側なんだから、ほんとナイスタイミング。