恋するマジックアワー(仮)
恋に気づく時

その日は久しぶりに、留美子と遅くまで一緒にいた。

たくさん話を聞いてもらった。

黙ってた事、留美子はなにひとつ嫌な顔しないで、笑ってくれた。



洸さんに、言った方がいいのかな。
留美子に話しちゃった事。

合鍵を取り出して、鍵穴に差し込んで違和感を感じた。


あれ?

携帯を確認すると、時計はすでに9時を回っていて。


あー……そっか。
もう洸さん帰ってきてるんだ……。

いつもは居ないから、この扉の向こうに洸さんがいると思うと、なぜか急に心臓が騒ぎ出した。


ドキン ドキン


はあ……。

これは、秘密がバレたことを話さないといけないからで。
それだけだ。

でも……、まだあたし洸さんの事許してないんだから。


無視無視。

意を決して部屋に飛び込むと、そのままリビングに突進した。



―――ガチャリ!



「……」


あ、あれ?


そこはもぬけの殻。

確かに人のいた気配はあるけど、それでも気配だけで。
洸さんは自室に戻ってるようだ。


なぁーんだ……。
意気込んで、バカみたい。


小さくため息を零すと、そのまま部屋に向かった。

お風呂入らなきゃ。
今度はしっかり鍵をかけて。

< 98 / 222 >

この作品をシェア

pagetop