だから、恋なんて。

いつの間にか榊も指示を受けてくれながら、輸液準備をしていてくれて。

「申し送りお願いします」

「はい」

オペ室からの患者さんの引き継ぎを受けている間に、受け入れは無事に終了していた。

ホッと息つく間もなく、榊からその場を引き継いでいろいろなチェックをしながら記録して、それから心配しているであろう家族に声をかけて、短時間の面会をしてもらう。

その間も朝から担当していた患者さんの最後のバイタルチェックをして、夜勤の看護師に申し送りをする。

その後は、記録して足りない物品を補充して、片づけをして……。


なんだかんだで、やっぱり定時にあがれるわけはなく。

「お疲れ様です。美咲さん、お先です」

榊があっさりと帰っていく後姿を見つめる。

しょうがない、そりゃあこんな時間のオペを受けたら遅くなるのは目に見えている。

それでもフロアを見渡すと、端のほうでは新人と先輩ナースがやっと落ち着いたのか、記録に専念している。

時間外に突入したけれど、まだ私が最後ってわけではなさそう。

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