だから、恋なんて。
そんな私と目が合った師長が、バツが悪そうな顔をして近づいてくる。
「すまんな、乙部」
「全然、大丈夫ですよ」
それはきっと急遽私にオペを回したことへの謝罪で。
そんなことはよくあることで、あの状況で新人に任せる師長じゃないことをよくわかっている。
「困った時の乙部様だな」
「どうぞ使ってください」
「うん、また明日も忙しいからな。明日も頼むかもなぁ」
「は~い、じゃあ僕も使っちゃおう」
「は?」
能天気な声が師長の後ろから聞こえて、オペ着のままのチャラ医者がひょこっと顔を出す。
手術中には帽子をかぶっていたので、乱れているはずの髪形も、なんだか適当に整っていて。
少し汗が滲んだオペ着も不潔感のないオトコは、にこにこしながら隣に腰を掛ける。