だから、恋なんて。
ちょっと、こんな医者と二人にしないでほしい。
別に意識しているわけじゃないけど、また変なことを言い出さないかヒヤヒヤする。
こうなったら隣には置物でも置いてあると思って、目の前の仕事に意識を向ける。
規則的に聞こえる電子音や人工呼吸器が響かせる機械音が響いているけれど、それに慣れてしまっていると全く気にならない。
カタカタとキーボードを叩く音だけが、自分の耳にダイレクトに響く。
視界の中には目の前の患者さんのバイタル測定に忙しそうな夜勤の看護師の姿はちらちらと入るけれど。
隣に座っているはずのオトコの姿は目の端にさえ映ることはなくて。
その存在感のなさは、ひょっとしたらもう隣にはいないのかと思うほど。
手を動かしながらも、結局気になってしまっていることに少しイラつきながら、最後の確認をしてから終了させる。