だから、恋なんて。

なんだか良くない予感だけがして、首を傾げながらその隣を通り過ぎようとした瞬間。

「乙部美咲さん!」

その場に不似合いなほど大きな声に名前を呼ばれて、思わずその声の主を見つめる。

相変わらずチャラそうな笑みを浮かべながら、それでいて何故か自信に満ちていて。

思わず一歩後ろに後ずさると、自信満々なオトコは一歩踏み出した。

「彼女にしてもいいよ」

「はい?」

にっこり笑って手を差し出す男は、ここがどこだか分かってるのだろうか。

当たり前だけど、ここは病院のICUで、あいつと私の職場で。

私の耳がおかしくなったのではないのなら、今、彼女にしてもいいよって言われた気がするんだけど…。

ていうか、なんで上から?彼女にしてもいいよってかなり上からの発言じゃない?

私が一度でも彼女にしてって頼んだことがあっただろうか。

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