だから、恋なんて。
意味不明な言葉にただただ立ち尽くす私に、師長が急かすように声を上げる。
「聞こえなかったのか?」
「いえ、多分聞こえましたけど……なんで今?」
いや、そもそも、こんなことやってる暇あるの?いくら落ち着いてるからって、ここはICUで、患者さんもいるわけで。
ほんとに当たり前なんだけど、師長のPHSが鳴りだしたり、モニターアラームが鳴ってきたりして。
「あ~、今いいとこ……はい、今日の転棟時間ですか?」
「はい、いきまーす。美咲さん、後から聞かせてくださいね」
なんて言いながら、私たちを取り囲んでいたスタッフも患者さんもぞろぞろとその場を離れていき。
そこには私と微笑んだままのチャラ医者が残される。
「…どういうつもり?」
「どうって、さっき言ったけど?」
悪びれることなく手を差し出したままのオトコは、どうやら何かを企んでいるようで。