だから、恋なんて。
普段なら師長に任せるけれど、生憎さっき会議に出て行ってしまって不在だから。
「あのっ」
「須藤さん、僕が性感マッサージしましょうか?」
明らかに場違いな発言をしながら、まるで私を庇うように患者さんとの間に立つ男。
「お、結城先生、お疲れさん。先生なんかより、このねーちゃんに頼みたいんだけどよ」
悪びれる様子もなくねーちゃんを連発するおじさんに、やっぱり一言言わないと気が済まない。
「だから」
「ねーちゃんじゃないですよ。この人は乙部さんで、僕の想い人です」
一歩踏み出していた私をまた制するようにベッド柵に手をついて、私をそのおじさんから見えなくする。
「お、そうなのか?」
「違いますっ」
チャラ医者の体の横から顔だけを出して、確認してくるおじさんに喰い気味で返答する。