だから、恋なんて。
「青見先生と美咲さんならちょうどいいくらいじゃないです?」
「なにがよ」
「年齢的にも雰囲気的にもです」
「いや、青見先生のほうが全然若いよ?」
「でも、青見先生って落ち着いてるから美咲さんといても違和感ないっていうか」
なんだかわけのわからない話を突然振ってくる榊の手には財布が握られている。
その財布と榊の顔を交互に見ていると、意味を察したような彼女。
「あ、私たち早番です。午後一からオペ後の患者さんが入ってくるから、先に行って来いって」
フロアの時計を見上げるとまだ十一時になったところだったけれど、そんなことはここでは珍しくない。
遅番の子に席を外すことを伝えて、榊と共に院内の食堂に向かって歩き出す。