だから、恋なんて。
「もうさ、四十路なんだから大丈夫だって。ちょっと恥かこうが、勘違いしようが、裏切られようがさ」
テーブル越しに体を乗り出して私の肩をバシバシ叩く千鶴。
ちょ、ちょっと姉さん、痛いってば…って。
「千鶴……出来上がってるね」
えらく雄弁だとおもったら……かんっぜんに酔っ払ってる。
ひゃひゃっと笑いながら「ウケる」とか言っちゃってるし。頬も真っ赤だし。目も全然私を見てないし。
ダメでしょうよ、恥も勘違いも裏切りも!四十路だからこそダメなんでしょうが。
若いころのように地中に沈むくらい落ち込んだら簡単に這い出せないからね。
かといって簡単に笑い飛ばせるほど軽い気持ちなわけでもない。
そもそも軽い気持ちでなんか動き出さないし。
すぐに結婚に結びつくわけじゃないとは重々承知しているけど、かといって次から次へと出会いはふってこないわけだし、もしかしたらこれが最後かもしれないし……。