だから、恋なんて。
「私、デパ地下寄って帰ろうかな」
「あー…私もそうしたいけど…」
「千鶴はダメでしょ。直人さんが千鶴のご飯たべたいんじゃない?」
「んー………あ、そうなの?」
「え?」
問いかけに顔を上げると、私に向けてじゃなかったのか、スマホの画面を見つめたままの千鶴。
「直人がもうそろそろこっちに着くみたいで、今買い物途中って言ったら、迎えに…来るって」
心なしか耳を赤らめて歯切れの悪い千鶴は、すごく恥ずかしそうで、でもとても嬉しそうにスマホをテーブルに置く。
「うわぁ……家に帰るまで待てないってカンジ…」
「そんなんじゃないでしょ」
私の冷やかしにコーヒーを飲みながらぶっきらぼうに返事するけれど、カップの向こうに見える横顔は照れを隠しきれていない。
「まだ大丈夫だって」と強がる千鶴を急かせてカフェを出て、別れようとする私の腕を千鶴が引き止める。
「駅まで一緒に行こうよ。直人も会いたがってるし」
どうやら、諸々のお礼を直接したいのだとか。