だから、恋なんて。

「お疲れ様」

「うん、ただいま」

もともと体育会系のがっしりした身体つきをしている直人さんのスーツ姿はなかなか悪くない。

あの日家に来た時には気の毒なくらい肩が下がってたっけ。

「こんばんは。昨日から千鶴を独占しちゃってすみません」

このまま忘れられてても困るので、千鶴の隣から顔を出して緩んだ顔の直人さんに挨拶する。

「あっ、この間はどうも、あの……千鶴がお世話になりました」

飛び上がらんばかりに肩をビクつかせた直人さんは、やっぱり千鶴のことで私に頭を下げる。

っていうか、絶対私の存在忘れてたし。

「いえいえ、私こそ。千鶴のお蔭でとっても美味しい毎日でしたし、またの機会があれば是非うちに家出を勧めてください」

「ま、またまたぁ………」

心底困ったように眉を下げて、頼りない視線を千鶴に送っている。

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