だから、恋なんて。
「まだ寝てたの?いつもこれくらい寝るの?」
「えー、これくらいって?別に決めてないよ、目が覚めた時に起きるって感じ」
「でもこんな時間まで寝てたら、またすぐになんて寝られなくない?」
「うーん、今って六時くらいでしょ?またご飯食べてゴロゴロしてたら寝られるよ?」
「……いや、もう九時半過ぎてるし」
「九時はんっ?」
自分の耳が信じられずに、テレビの上にかかってある時計に目をやる。
ほんとだ…九時半過ぎまくってるし…。カーテンの隙間から見える外の景色も暗くてよく見えない。
じゃあなに、私ってば十時間以上寝てたってこと?いつもなら精々四、五時間寝たら目が覚めちゃうのに。
体が無意識に休息を欲していたわけだね。
こんなに疲労困憊なのも、あのチャラ医者と意味不明な青見先生の所為に違いない。
「で、こんな時間にどうしたの」
夜の九時半に旦那持ちの千鶴が家を訪ねてくる理由がわからない。