山神様にお願い


 どうやら見事な赤面だったらしい。それをウマ君は指摘して、更にゲラゲラと笑う。

「ああ、シカさんもその気だったんならすみませんでした!でもツルさんが、シカちゃんはまだだと思うわって言ってたから~」

 ・・・・つ、ツルさーん!

「・・・」

「ちょっと虎さん、問題っすよ~!シカさん声も出ないほどショック受けてますよ。可哀想に~・・・セクハラですね、警察に行きますか?」

 真っ赤のままで固まる私の顔を、近くにきてしゃがんだウマ君が覗き込む。

「・・・へ、え?いや、その・・・」

 私は何といっていいやら判らない。かなりのパニックだった。

 よいしょ、と片足を立てて座りなおした店長が、片手でガシガシと頭をかき回している。

「ツルは魔女か?何で判ったんだろー」

 相変わらずニヤニヤしたウマ君が、私の手から雑誌を奪いとりながら言った。

「今回は虎さん本気かもね~って言ってましたよ。ツルさんはよく見てるから。案外、龍さんも判ってて寝にいったんじゃないっすか?」

「あ、俺もそれは思ったけど」

 二人は私に構わずガンガンと話しをする。あははは~って爽やかな笑い声まで聞こえてきた。

 え?いやいや・・・ちょっと待って、全然展開についていけないんですけど。

 あのー、山神様?これ一体何の冗談?


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