山神様にお願い
「お金足りないなら、カテキョに毎日来ればいいのに」
「いえ、結構です」
とんでもないっす。私の精神状態考えたら、そんな、まーさか!
「お母さんに時給上げろって言うよ、僕?」
「いえいえ、しなくていいからね。お宅様には十分な謝礼を頂いてますから」
「じゃあやっぱり日数を増やして――――――」
「私のことはどうぞお構い無く!ほら、間違えたとこやり直すよ!」
境界線まで歩いて行って、彼の顔面にプリントをつきつけてやる。15問中13問の正解。間違った2問は、絶対わざとだと判っている。だって基礎問題間違えて、それより遥かに難解な応用問題正解してるんだもん。
プリントを受け取って、阪上君はにやりと笑った。
「ちゃんとやったら襲わせてくれる?」
「黙れクソガキ!」
そんなこんなで折角いい気分だったのが、悪魔へプリント3枚させる間に交わしたセクハラ発言に疲れ果てて、その夜はヨロヨロと部屋に戻ったのだった。
給料給料、と帰りの電車でぶつぶつと唱える。全く怪しい人だっただろうけど、仕方がない。お金のことを考えるのは、いつだって精神統一への近道だ。
そして、私に近いもう一人の男の子。彼は、最近性格が変わってしまった。