山神様にお願い
そしてついに、警察が、到着した。
赤いランプがくるくる回って周囲を照らし、やめなさーい!と拡声器で怒鳴りながら警官が入ってきた。
・・・お、おまわりさんだああああ~・・・。私は心底ホッとした。それだけで泣けるくらいの安心感だった。
私達はよろよろとカウンターの中から出る。
「・・・・何、これ。戦争・・・?」
ツルさんがそう呟いたほど、店の中は酷い有様だった。
一言でいえば、滅茶苦茶。
ガラスがいたるところに散乱していて、料理や血がバラバラと横たわっている。
暴れまくっていた男達の目にうつる全員が、宇宙人みたいな外見になっていた。・・・グロイ。思わずパッと目をそらす。
まだ興奮冷めやらぬ男達を龍さんから引き離して、警官達が叱り付け、彼等を店の外に追いやる。ウマ君が一生懸命説明している中、喧嘩の結果の鼻血と唇からの出血を舌で舐めながら、龍さんがぐったりと椅子にもたれた。
ようやく周りを見回して、自分がしたことを見たらしい。
「・・・おー・・・ヤベ」
ボソッと呟いた。
龍さんの前に仁王立ちになって、ツルさんがカンカンになって怒鳴った。
「バッカじゃないの!?折角苦労して会計に持ち込んだのに、それを台無しにして何やってんのよ!!」
殴られた顔の一部が腫れてきつつある龍さんが、ツルさんを見上げてへらっと笑った。