山神様にお願い
は?店長?
首を捻る私の前で、ツルさんが両手に腰をあてて言い放った。
「当然の報いよ、留守を預かる人間が店をこんなにして!しょうがないでしょ、成仏しなさい!」
「・・・お前、冷たいね」
「私はちゃんと止めたでしょうが!」
彼らが何を言ってるか判らないままで、警察の人が龍さんのところに来た。
龍さんが話しをしている間に、ツルさんが私を振り返った。そして非常に機嫌が悪い顔で、ひっくーい声で教えてくれた。
怒ったら、龍さんなんてメじゃないくらいにトラさんは怖いのよ、って。
え。
そ、そうなんだ・・・。今までだって龍さんにガミガミ言う店長を見てきたけど、そんな怖かったかな?そう思って首を傾げる。あれは怒ってるって内に入らなかったとか?
結局、30分後くらいには、警察が呼んだ救急車に彼らと龍さん全員が収容されて、そのまま連れ去られていった。
警察は店にいたカップルからも私達からも事情をきき、代表としてツルさんが警察についていくことになった。
ウマ君はオーナーの日々立さんを呼びにバイクで夜の中出て行く。
後に残された私は、荒れ果てた店の真ん中で電話を持ったままでため息をついた。
「・・・信じられない~・・・・」