山神様にお願い


 は?店長?

 首を捻る私の前で、ツルさんが両手に腰をあてて言い放った。

「当然の報いよ、留守を預かる人間が店をこんなにして!しょうがないでしょ、成仏しなさい!」

「・・・お前、冷たいね」

「私はちゃんと止めたでしょうが!」

 彼らが何を言ってるか判らないままで、警察の人が龍さんのところに来た。

 龍さんが話しをしている間に、ツルさんが私を振り返った。そして非常に機嫌が悪い顔で、ひっくーい声で教えてくれた。

 怒ったら、龍さんなんてメじゃないくらいにトラさんは怖いのよ、って。

 え。

 そ、そうなんだ・・・。今までだって龍さんにガミガミ言う店長を見てきたけど、そんな怖かったかな?そう思って首を傾げる。あれは怒ってるって内に入らなかったとか?

 結局、30分後くらいには、警察が呼んだ救急車に彼らと龍さん全員が収容されて、そのまま連れ去られていった。

 警察は店にいたカップルからも私達からも事情をきき、代表としてツルさんが警察についていくことになった。

 ウマ君はオーナーの日々立さんを呼びにバイクで夜の中出て行く。

 後に残された私は、荒れ果てた店の真ん中で電話を持ったままでため息をついた。

「・・・信じられない~・・・・」



< 149 / 431 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop