山神様にお願い
龍さんが全額弁償なんだ!?
・・・やっぱり、店長は激しく怒ってるんだよね、そう思って、私の体が縮こまる。真っ青になって、どこでだかは知らないけど店長に土下座して謝る龍さんを想像してしまった。
「あのー・・・あの方達、店長のお友達って言ってましたけど・・・」
昨日から聞きたかったことだ。本当に店長の友達だったなら、私は仰天する。だって酷かったもん!あんな人たちと付き合ってるの!?そう思って、ショックだった。
ああ、と店長が苦笑する気配。
『友達だとは驚いたね、俺も。正しく言えば後輩なんだ』
・・・後輩。あ、良かった。私はホッとして力んでしまってた肩の力を抜く。
『地元のバカ学校で、高校の時の後輩。こっちに出てきてて、一度会ったときに色々世話してやったんだけど・・・。これが、恩を仇で返すというやつだよなー。昔から手がすぐ出るやつだったし、話も盛って格好つけるんだ。だけど、まさか俺の店で好き勝手するとは』
最後の方で店長の声がどんどん声が低くなっていって、私は口元を引きつらせる。こ・・・怖い、んですけど、店長・・・。
あの人たち、店長がいたら行儀良く飲んでいたのかもしれない。いなかったし、からかったら反応があった龍さんがいたから酔っ払った勢いで調子に乗ってしまっただけで。
私が黙って考えていると、店長がサラーっと言った。
『ま、あいつらには別で償いさせるよ。とにかく、そういう事なんだ。今晩時間あったら、店の片付けにきてくれると嬉しい。勿論その分の時給は出すので』
「・・・あ、はい!勿論行きます。5時に入ったらいいですか?」