山神様にお願い
キスをしながら彼の手が私のシャツを引きちぎった。ブチブチって音がして、ボタンが弾け飛び、壁に当たってどこかへ消える。熱い手のひらがむき出しになった肩から背中を這い回る。その一々に反応しながら、声も出せずに私は震える。
舌を絡めながら、床に押し倒されていたらしい。そんなことにも気付かなかった。
破かれたシャツがどこかへ行ってしまって、大きな手が胸や太ももを包み込む。手が何本もあるのかと思ってしまった。自分の体中のアチコチで店長の手を感じた。
霞んでぼやけた視界には一面の緑色。森の中で、私は熱くて淫らな空気と一体になる。
「俺に喰われに来たんだろう?ちゃんと鍵まで閉めて」
そう言って、店長が低く笑う。違います、なんて言えないじゃないの。だってもう既に、こんなにも反応してしまっている。
「二人っきりにならないようにって折角気をつけてやってたのに・・・。シカが自分で飛び込んで来たんだよ、判ってる?」
店長の唇が私の他の部分を食べている間、私の口の中には彼の親指が突っ込まれていた。これしゃぶってて、そう言って私の口内を店長の指が生き物みたいに動く。
まさか、自分がこんなことを。そう思う暇もなかった。
気持ちよくて、熱くって、緑が綺麗で、恥かしくって、でもやめてほしくなくて、今までに聞いたことがないような声が自分から出るのに驚きながら溺れていた。
「邪魔」
下着がぬき取られてそこに顔を埋められる。震えが止まらなくてどうしたらいいか判らなかった。怖いほどの気持ちよさに必死で逃れようとしたけど、ガッチリと腰を掴まれていて動けないのだ。